アメリカのタイニーハウスミーティングで必ず話題にのぼること、それはトイレについて。
私によく聞かれる質問ベスト3にも確実に入っています。笑
確かに移動式のタイニーハウスにおいて、「移動する(動く)」と「給水、排水」の二つをどうやって両立させるのか疑問ですよね。
ちいさな家では省スペースであってほしいし、でも快適性もほしいところ。
今回は、永遠の課題であるタイニーハウスのトイレの選択肢をいくつかご紹介したいと思います。
環境に優しい「コンポストトイレ」
コンポストトイレとは、排泄物を生物分解、堆肥化して自然に返すシステム。そのため、コンポストトイレには配管がありません。
仕組みは、大(固形物)と小(水分)が分離される構造になっており、大にはおかくずなどを入れて攪拌(レバーをぐるぐる回す)、堆肥化を進めます。小は水を加えて薄めるとこちらも肥料になります。
また、おしりをふいた紙は堆肥化されないため便器に入れず分け、ゴミ箱に入れます。
コンポストトイレのメリットは、
・配管工事が必要ない
・水や電気が不要で、災害時にも使用可能
・堆肥化することができ、環境にやさしい
・光熱費がかからず、経済的
注意点は、
・正しく使わないと臭いがしてしまう
・定期的にメンテナンスや堆肥の処理の手間がある
・堆肥化するために畑などがセットで必要
といったところ。
気になる臭いは、水分(小)と固形物(大)をしっかり分けた上で攪拌させ換気口をつければ、個人差はありますがそれほど気になりません。
コンポストトイレを使っている友人は「森やカブトムシのような香りがする」と言っていました。笑
しかし適切に使わないと匂うこともありますので、匂いに敏感な人は注意が必要です。
また、処理する際にはある程度の覚悟しなくてはいけません。
処理する様子は、私のお気に入りのこちらの動画を参照ください。
価格は10〜20万円前後。
一見高いようにも感じますが、水道代や下水工事費がかからないことを考えるとむしろリーズナブルかもしれません。
またDIYで作ることも可能ですが、少々値段が張ってもファン(換気扇)つきのものや大小それぞれの穴に蓋があるものを選ぶと、匂いがかなり軽減されます。
▼メジャーなのは、アメリカ・Nature`s Head のコンポストトイレ。
お値段は20万円ほどしますが、欧米でタイニーハウスのコンポストトイレといったらこれ!というほどよく使われています。
インフラ接続なしでも水洗「ポータブルトイレ」
ぽんと置くだけのポータブルトイレ。キャンピングカーやバンなどにもよく使われています。
トイレには二つのタンクがついており、真水タンクの水で排泄物を流し、汚水タンクに溜まっていく仕組み。排泄物が溜まったら浄化槽や公衆トイレなどに捨て、タンクには水と専用の消臭剤を補充します。
しかし侮るなかれ。簡易水洗といってもしっかり水が流れ、家庭用水洗トイレと使用感はほぼ変わらず快適。密閉性が高いため、匂いも気になりません。
ある程度処理の手間があったり、タンク分のスペースが取られるものの、インフラに接続したくないけどコンポストトイレはちょっと勇気がいる人や、「水が流れる」感覚がほしい人にはいいかもしれません。
価格は1〜4万円ほどと、リーズナブル!
電気のいらない手動式と、スイッチ一つで流れる電動式があります。
タンク容量が小さい=こまめに処理をする必要があるため、日常的に使うのであれば3万円以上のある程度容量があるものがおすすめです。
▼こちらは電動式、軽く押すだけで水が流れるタイプ。洗浄水タンク容量15ℓ・汚物タンク容量21ℓで、約58回連続使用することができます。
水なし手軽!「ドライトイレ」
ドライトイレはその名の通り、水を一切使わないトイレ。
あまり日本では見かけませんが、海外のタイニーハウス住人たちの間では意外と使われていたりします。
トイレが洗浄されると電気モーターが作動し、トイレ内のライナー(銀紙のようなもの)をギュッとねじり、排泄物を包みます。ライナーに包まれた排泄物は便器内に落ちていき、新しいライナーがセットされます。
ライナーのカートリッジを使い切ったら取り外し、ゴミとして捨て、新しいカートリッジを挿入します。
こんな感じでヒュオオオオオオ〜〜〜ンっと・・・・。
ドライトイレのメリットは水を一切使わず処理も「ゴミを捨てる」「カートリッジを付け替える」のみでよいため、水を使わずかつ手間が少ないということ。
一方、新しいカートリッジを購入する費用や、ゴミが増えてしまうデメリットがあります。
ドライトイレの価格は5〜7万円ほど。日本ではほとんど製品がないため、海外サイトで購入する必要があります。
とにかく快適!「水洗トイレ」
みなさんおなじみ、ザ・普通の水洗トイレ。
家庭内に汚物が蓄積されたり処理する必要がなく、匂いもしません。温水便座やウォシュレットもあり、とにかく快適のひとこと。
ただ上下水が繋がっていない場所では当然使えないため、タイニーハウスに普通の水洗トイレを設置する場合には、インフラ(上下水)を着脱式にする必要があります。
このインフラ着脱もまあまあ大変ですので、正直に言って常に移動したい場合には普通の水洗トイレはおすすめしません。
安住の地を見つけてほぼ移動させない場合や排泄物の処理を続ける自信がない場合は、潔く水洗トイレを選ぶのもいいと思います!
価格は設置費を含めると7〜15万円程度。加えて浄化槽の設置または下水管引き込み工事に30〜80万円程度かかることも、覚悟しておきましょう。
▼コンパクトなタンクレストイレは小さな空間に向いています。某タイニーハウスホテルもこちらを使用しているとか・・・。
まとめ:ライフスタイルに合わせて選ぼう!
以上、ご紹介したトイレたちの特徴をまとめると以下のようになります。
価格 | インフラ接続 | 処理の手間 | 環境配慮 | 匂い | |
コンポストトイレ | 10〜20万円 | 不要 | △ | ◎ | △ |
ポータブルトイレ | 1〜5万円 | 不要 | △ | ◯ | ◯ |
ドライトイレ | 5〜10万円 | (電気のみ)必要 | ◯ | △ | ◯ |
水洗トイレ | 7〜15万円(+下水工事費) | 必要 | ◎ | △ | ◎ |
このようにそれぞれ特徴があり、どのトイレがベストかは価格を抑えたいのか、快適性を追求したいのか、環境に配慮したいのか、何を重視するかによって変わってきます。
そもそも母屋や公共施設などを活用することができるのであれば、思い切ってタイニーハウスにトイレを設置しない!という選択肢もありでしょう。
奥が深いタイニーなトイレの世界。
自分のライフスタイルを想像した上で、じっくりとトイレ選びをしてみてはいかがでしょうか!
▼タイニーハウスのインフラ全般については、こちらの記事をご参照ください!
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