移動ができるちいさな家、タイニーハウスとは?メリット・特徴まとめ

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©photo by Yuki Soma

近年注目されている、「タイニーハウス」。言葉は聞いたことがあるけどイメージがわかない、という人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな「タイニーハウス」が注目される背景とそのメリットを詳しくまとめていきたいと思います。

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タイニーハウスとは?

タイニーハウスとは、直訳するとtiny(ちいさな)house(家)。
タイニーハウスムーブメント発祥の地・アメリカで「タイニーハウス」というと約10〜40㎡の家を指し、多くの場合シャーシ(車台)の上に建てられた移動ができるものを指します。

日本における「タイニーハウス」の定義は厳密にはないのですが、おおむね10〜25㎡前後の家で、移動式(シャーシ付)と基礎付きどちらもあります。小屋と同義で語られることもありますが、主な違いはそこに「住まい」としての側面があるということです。

タイニーハウスの歴史

タイニーハウスの歴史は1999年のアメリカに遡ります。
エアストリームで生活をしていたJay Shafer(ジェイ・シェーファー)はあるとき、移動ができる自由さを残しながらもっと快適な“家”がほしいと思い、なんと自分で「移動ができる車輪付きの小さな家=タイニーハウス」を作ってしまいました。

そのタイニーハウスが住宅雑誌『Natural Home Magazine』で「最も革新的なデザイン」に与えられる賞を受賞すると、その家の概念を覆すアイディアは人々に衝撃を与えます。その後徐々に実践者が現れはじめますが、まだ一部の選択肢にとどまっていました。

Jay Shaferの代表作とも言える『THE SMALL HOUSE BOOK』https://www.amazon.com

タイニーハウスが「新たな住宅の選択肢」として注目されるようになったきっかけは、2000年代後半に起こったリーマンショックでした。

大きな家や豪華な調度品、便利なものたち。
かつての富の象徴を一瞬にして失ったとき、「人生の本当の“豊かさ”とは何か」多くの人々が見つめ直しはじめます。

そして、ローンを抱えず小さな家でシンプルに暮らし、人やモノとの関係性や生き方を見つめ直そうという「タイニーハウスムーブメント」が起こり、広まることになりました。

日本においても、2011年の東日本大震災のときに同様のことが起こります。当たり前のように享受していた社会インフラが崩れ、家をはじめとする豊かさの象徴であったものがあっという間に崩壊していく様は、多くの人々に衝撃を与えました。

転職や移住、ミニマリストなど、様々な形で生き方を見つめ直す人々が増えてきましたが、そのひとつの手段として、タイニーハウスが少しずつ脚光を浴び始めていきます。

タイニーハウスの特徴とメリット

タイニーハウスは以下のような多くの特徴があります。

①暮らしにかかる費用を最小限にすることができる


タイニーハウス本体で300〜500万円程、移動するためのシャーシ(車台)が120万円程、水回りなどの設備を入れて100万円程、インフラ工事などを合計しても多くの場合1000万円以内に収まります。
1000万円以下であれば、貯金のみまたは5〜10年で返済できる少額のローンで購入することが可能です。
※購入できるタイニーハウスについてはこちらの記事を参照ください。

現在、支出に対する家賃の比率が多くを占める中で、その割合を抑え可処分所得を増やすことができれば、労働時間を減らし、趣味や家族との時間を増やすことができるようになります。

また、移動式のタイニーハウスは一定の条件を満たせば「車両」として認められるため、固定資産税ではなく自動車税となり、税金が抑えられるメリットもあります。

②必要なもの、そうでないものを見直せる


タイニーハウスの小さな空間に持ち込める物は限られるので、必然的に必要なものを取捨選択する必要があります。
ものに溢れている現代社会の中で、本当に必要なものは実は限られています。

タイニーハウスに住むことはいわば、ものと向き合う一つの機会。
その過程はものだけでなく、お金や住む場所、人との付き合いを考えることにもつながり、自分にとって大切なものを見極めるきっかけにもなります。

③セルフビルド(自作)ができる


タイニーハウスは小さいため、セルフビルド(自作)もできます。
すると費用が抑えられる他、構造がわかっているため修理などが必要になったときに手を加えることができます。

また、「どのような暮らしがしたいか=どのようなタイニーハウスが作りたいか」を考えることは、徹底的に自分の生き方と向き合う機会です。辛い作業でもありますが、それを乗り越え完成させたタイニーハウスにはきっと、既製品にはない価値が生まれてきます。

私自身もこの記事を書いているとき、タイニーハウスのセルフビルドの真っ最中なのですが、そこには多くの困難と気づき、それ以上の達成感があります。セルフビルドについては別の記事で詳しく書いていきます。

④材質やデザインにこだわることができる


大きな家で細部までこだわろうとすると、費用がかさんでしまいます。

しかしタイニーハウスは空間が小さいため、一つ一つの材や設備、インテリアにこだわったとしても大きな負担にはなりません。例えば、環境に優しい材や性能の良いサッシを選び、快適性やデザインを追求することも可能です。

⑤移動ができる


シャーシ(車台)つきのタイニーハウスは、車で牽引して移動させることができます。
750k以下のタイニーハウスであれば牽引免許が不要で、それ以上の大きさであっても牽引免許を取得し練習をすれば、誰でも牽引が可能です。

頻繁に移動しないとしても、いざとなったら「家ごと移動する」選択肢、そして土地に縛られない自由があると思うと、気持ちに少し余裕が生まれるのではないでしょうか。

本体価格について

タイニーハウスの価格についてはこちらの記事に詳しくまとめてありますが、購入した場合、水回りのついていないものや10㎡前後の小さいものは100〜300万円前後、シャワーやトイレ、キッチンなどの水回りや断熱が充実しており、2人ほどでも暮らせる15〜25㎡前後のものは600〜800万円前後が相場となります。

私自身も経験がありますが、セルフビルド(自作)することもでき、その場合は300〜400万円前後が目安となります。

暮らせる仕様だと決して格安ではありませんが、長期のローンを組んで購入する通常の住宅と比べると安価といえるでしょう。

税金・維持費について

家を所有する上で気になるのが税金。
タイニーハウスに関しては、その大きさと、移動式か固定式かによって決まってきます。

10㎡を超える固定式のタイニーハウスには、基本的に固定資産税がかかります。
移動式のタイニーハウスはいくつかの条件(設備が着脱式である、移動ができる状態である、など)を満たしていれば固定資産税は掛かりませんが、代わりに自動車税がかかります。

ちなみに建築確認申請については、「床面積が10㎡に満たない」「防火地域・準防火地域でない」「用途地域が無指定」これらの条件を満たしていれば、不要となります。

素人判断だと気がついたら違法に・・・ということになりかねないので、税金や確認申請については自治体に必ず確認しましょう。

まとめ

以上が、タイニーハウスの背景や特徴となります。
設備やお金、セルフビルドなどについてはまた別の記事で詳しくまとめていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

▼水道や電気など、設備についてはこちら
▼タイニーハウス本体の価格についてはこちら
▼タイニーハウスの間取りについてはこちら

ちいさくて、どこまでも自由なタイニーハウス。

不思議な魅力をもつそのちいさな家は、限りある人生に向き合い、豊かに生きるためのヒントを与えてくれるのかもしれません。

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